あとがき──静かな水面のように、未来へ

この連載を書き進めるあいだ、 私は何度も岩村ダムの水面を思い出していた。
若い頃、心が揺れたときに通ったあの場所。

水の静けさが、自分の内側のざわめきをそっと吸い取ってくれた日々。

あの水面は、ただの風景ではなく、
私にとって“国土の記憶”そのものだったのだと思う。

福島の痛みを見つめ、
世界の潮流を追い、
日本の国土が持つ力を思い出し、

原発推進の影に潜む未来への負担を考え、
そして、これからのエネルギー政策を静かに描く──

そのすべての根底には、
あの水面の静けさが流れていた。

日本は、資源の乏しい国だと言われる。
だが、私はそうは思わない。
水があり、風があり、太陽があり、地熱が湧く。
国土そのものが、未来を支える力を持っている。

この連載は、 その“国土の力”をもう一度思い出すための旅だった。
そして、未来の世代へ何を手渡すのか── その問いを自分自身に投げかける時間でもあった。

エネルギー政策は、 政治の話でも、技術の話でもなく、
人の暮らしと国土の記憶をどう未来へつなぐかという話だ。

福島を忘れないこと。
世界の変化を見つめること。

国土の力を信じること。
未来の世代に負担を残さないこと。

そのどれもが、 静かな水面のように、 揺れながらも確かな方向を示してくれる。

この連載を読んでくださった方が、
ほんの少しでも、 日本の未来を自分ごととして感じてくださったなら、
それ以上の喜びはない。

水は、今日も静かに流れている。
その静けさを胸に、
私たちは未来へ向かって歩いていく。

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