第5回 未来への提言──技術革新と持続可能なエネルギー政策へ

① 10年後ではなく、50年後を見据える政策へ

日本のエネルギー政策は、 どうしても“短期の安定”を優先しがちだ。
電力の需給、経済の動向、政治の都合── これらは確かに重要だが、
それだけを見ていては未来は開けない。

エネルギー政策は、 10年後ではなく、50年後を見据えて考えるべき領域である。

なぜなら、 発電所の建設も、送電網の整備も、
国土の利用も、 すべてが長い時間軸で動くからだ。

未来の世代が、 「なぜあの時、あの選択をしたのか」 と問いかけたとき、
胸を張って答えられる政策でなければならない.

② 再エネの組み合わせ──日本型エネルギーミックスの再構築

日本は、 太陽光・風力・水力・地熱という 多様な再エネ資源を持つ国である。

それぞれの特徴を生かし、 組み合わせることで、 安定性と持続性を両立できる。

● 太陽光

都市部・住宅・工場の屋根を活用し、 “分散型電源”として地域の自立性を高める。

● 風力(特に洋上風力)

海に囲まれた日本の地理的優位性を生かし、 大規模な主力電源として育てる。

● 水力

既存ダムの発電機能追加、揚水の強化。
再エネの変動を吸収する“調整力の要”となる。

● 地熱

火山国である日本の“宝”。 観光との両立を図りながら、 ベースロード電源として活用する。

これらを組み合わせることで、 日本型のエネルギーミックスが再構築できる。

③ 蓄電技術と揚水の強化──再エネを“安定電源”に変える

再エネの弱点は“変動”だと言われる。 だが、技術はその弱点を静かに克服しつつある。

● 蓄電池

価格は10年で約80%下落し、 大規模蓄電池は電力網の“緩衝材”として機能し始めた。

● 揚水発電

水を汲み上げて貯めることで、 巨大な蓄電池として働く。
日本は世界有数の揚水設備を持つ国であり、 これを最大限活用すべきだ。

蓄電池と揚水を組み合わせれば、 太陽光や風力は

“変動する電源”から“安定供給できる電源”へと変わる。

再エネは、 もはや理想論ではない。 技術がそれを現実にしている。

④ 原発依存からの段階的離脱──未来世代への責任として

原発を一気にゼロにすることは現実的ではない。
だが、 段階的に依存度を下げていくことは可能であり、必要である。

その理由は三つある。

  1. 老朽化が進み、リスクが増大している
  2. 廃炉と核のゴミが未来世代への負担になる
  3. 再エネのコストが下がり続けている

原発は、 「安定供給のために必要」という言葉で語られがちだが、
その裏には、 未来世代への負担が静かに積み上がっている。

私たちは、 その負担を少しでも軽くするために、
依存度を段階的に下げる道を選ぶべきだ。

⑤ 国土の力を信じる──日本は“水と風の国”である

日本は、 資源の乏しい国だと言われる。 だが、それは半分正しく、半分誤解だ。

日本は、 水が豊かで、 風が吹き、 太陽が降り注ぎ、 地熱が湧き上がる国である。

つまり、 国土そのものがエネルギー資源なのだ。

岩村ダムの静けさを思い出すたびに、 私はこのことを強く感じる。

日本は、 国土の力を信じれば、 未来のエネルギーを自らの手で作り出せる。

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